「働きたいのに、どうしても体が動かない」と、焦りや罪悪感を抱えている方もいるのではないでしょうか。
周りが働いているのを見ると、「自分は甘えているのでは」と落ち込んでしまうかもしれません。しかし、「働きたい」という気持ちがあるだけで、あなたは十分立派です。今の状況は決して甘えではありません。
この記事では、働けない本当の理由と、無理なく次の一歩を踏み出すための方法をお伝えします。
「働きたいのに働けない」と悩むあなたへ。それは決して甘えではありません

「働きたいのに、どうしても体が動かない」「自分は甘えているだけなのではないか」と、焦りや自己嫌悪に苦しんでいませんか。はっきりとお伝えしたいのは、今の状態は決してあなたの甘えや努力不足ではないということです。
「働きたい」という前向きな気持ちがあるにもかかわらず行動に移せないのは、長引く疲労やストレスによる心身のSOS、あるいは病気や育児、介護といった「個人の力だけではコントロールできない環境のハードル」が重なっている結果に過ぎません。
真面目で責任感の強い人ほど、「周りは普通に働いているのに」と自分を責めてしまいがちです。しかし、責め続けても気力がすり減るばかりで、次の一歩を踏み出すためのエネルギーを失ってしまいます。「うまく動けないだけの明確な理由があるのだ」と現状を受け止め、自分を責めるのをやめることが大切です。
働きたいのに働けない5つの主な理由

「働きたいのに働けない」理由には、人それぞれ異なる複雑な事情があります。ここでは、よくある5つの理由をまとめました。
ご自身の心や体の状態、置かれている環境と照らし合わせながら、自分が今どの状況にあるのかを整理する参考にしてみてください。
1. 精神的な不調・ストレス|うつ病や適応障害など
「働きたい」という強い意志があっても、うつ病や適応障害、自律神経失調症などの影響で、心と体がついてこない状態です。診断されていなくても、「朝起き上がれない」「求人を見ると動悸がする」といった症状が現れることがあります。
自分では「努力不足だ」と責めがちですが、脳や心が限界を迎え、ブレーキをかけている状態であり、決して甘えではありません。
2.身体的な病気や体力への不安
持病やケガ、または長期の療養明けで体力が著しく低下しているのが理由で、フルタイム勤務や立ち仕事に対して恐怖心がある状態です。「もし体調を崩して休んだら、迷惑をかけてしまうのではないか」という強い責任感がプレッシャーになって、求人に応募する勇気を奪ってしまっている場合もあります。
また、自分のペースで働ける環境が見つからないことも、原因の場合もあります。
3.育児・介護など家庭環境の制約|ママや専業主婦の悩み
「子どもが保育園に入れない」「子どもが熱を出しやすい」「親の介護で突発的な対応が必要」など、自分の努力だけではどうにもならない事情がある人たちが抱える物理的な壁です。「急な休みは許されない」という日本の職場の空気がプレッシャーで、働きたくても働けない状況です。
4.ブランクへの恐怖・自信の喪失|ニート状態など
長期間、離職していたり、就労経験がなかったりして、自己肯定感が極端に低下している状態です。社会との接点が少なすぎるため、面接自体が大きな恐怖となっていることもあります。
ニート状態の方も、内心では「このままではいけない」と強く焦りを感じています。
5.過去の人間関係のトラウマ・HSPなどの気質
過去に嫌な出来事を経験すると、誰でも「また同じことが起こらないか」と不安になるものですが、職場でパワハラやいじめを受けた経験があると就労に関して敏感になるのは当然のことだといえます。なかには、トラウマがフラッシュバックして動けなくなる人もいるのではないでしょうか。
他人の感情や職場の空気に人一倍敏感なHSP(Highly Sensitive Person)の気質を持つ人は、人間関係を作ったり、マルチタスクに極度に疲れやすかったりして、「働くこと=心身をすり減らすもの」という認識が強くなっているため、復帰に慎重にならざるを得ません。
働きたいのに働けない人の状態と陥りがちな行動

「周りはちゃんと働いているのに」という罪悪感と、「早く何とかしなきゃ」という焦りが常に頭を巡り、心が休まる暇がありません。あるいは何もできない現状から、「自分はダメだ」と深く思い込んでしまう人もいます。頭では「働こう」と思っていても、朝起き上がれないなど、心身のバランスが崩れてしまっている状態です。
働きたいのに働けない人は、以下のようなNG行動に陥りがちです。
- 自分を責め続ける
- 焦って、今の自分に合わない仕事につく
- 100%完璧な状態を求めすぎる
- 誰にも相談しない
当てはまるものがあっても、自分を責めるのはやめにしましょう。動く前に、一度立ち止まって深呼吸しましょう。
無理なく前へ進むための方法

いきなりフルタイムで働くことを目指すのではなく、少しずつ働く時間や日数を増やしていくと、無理なく進められます。
まずは心身の休息を最優先にする|治療が必要な場合は病院へ
休むことは、前に進むための充電期間です。睡眠や食事がとれていない、涙が出るなどの不調がある場合は、心療内科や専門医を頼り、心身を休ませるようにしましょう。
「絶対にやりたくないこと・できないこと」と「今できること」を紙に書き出す|自己分析
頭の中で堂々巡りしている不安を、自分の目で見てみましょう。「絶対にやりたくないこと・できないこと」と「今できること」を紙に書きだすのです。
具体例として、以下のようなものがあります。
【「絶対にやりたくないこと・できないこと」と「今できること」】
| 絶対にやりたくないこと・できないこと(例) | 今の自分でもできそうなこと(例) |
| ・満員電車 ・週5日勤務 ・接客業 ・早起き | ・週2日の短時間ならOK ・在宅ならできる ・一人で黙々と取り組む作業なら好き |
これらをノートに書き出すことで、「これなら働ける」という自分なりの条件が客観的に見えてきます。
スモールステップで生活リズムを整える|散歩や短時間の外出から
就活の前に、まずは「社会と接するリハビリ」から始めましょう。
例えば、以下のようなことです。
- 決まった時間に起きる
- 1日15分だけ外を散歩する
- 図書館やカフェに行って数時間過ごしてみる
「今日もちゃんと起きられた」「外出できた」という小さな成功体験を積み重ねることが、自己肯定感を回復させる一番の近道となります。
短時間パートや在宅ワークなど多様な働き方を検討する
「働く=週5日フルタイムの正社員」という考え方に囚われていませんか。今の時代の働き方は、さまざまです。たとえば、フルタイムの正社員以外に以下のような働き方があります。
- 1日2〜3時間、週1日から始められるパートやアルバイトをしてみる
- 人間関係のストレスが少ない在宅ワーク:クラウドソーシングなどでのデータ入力や軽作業をしてみる
- 単発バイト:1日単位で働けるアプリを活用する
まず、小さな仕事から始め、自信がついたら徐々にステップアップすればいいのです。
一人で抱え込まないで。頼れる公的支援・サービス

「働きたいのに働けない」という悩みは、一人で抱え込んでいるとどんどん大きくなってしまうものです。世の中には、そういった状況に寄り添ってくれる公的支援やサービスがたくさんあります。まずは専門機関へ相談し、プロの力を借りてみましょう。
ハローワークの専門窓口|障害者関連窓口やマザーズハローワークなど
全国にあるハローワーク(公共職業安定所)には、一人ひとりの事情に合わせた専門的な相談ができる窓口が設けられています。
- マザーズハローワーク:子育て中の方の就職を支援する窓口です。キッズコーナーが併設されており、子どもを近くで遊ばせながら安心して相談できます。子育てに理解のある企業の求人を積極的に紹介してくれるのも大きなメリットです。
- 障害者関連窓口:専門の担当者がその専門性をいかし、就職の準備から職場への定着までを一貫してサポートしてくれます。
どちらの窓口も求人の紹介だけでなく、応募書類の作成支援や面接指導など、実践的なサポートも受けられます。
参考:厚生労働省|ハローワーク
障害者に対する就労支援|病気や障害がある方向け
病気や障害があり、一般的な就労が難しいと感じている方には、障害者総合支援法に基づく「就労系障害福祉サービス」という選択肢があります。ご自身の体調や希望に合わせて、以下の5種類のサービスから適切な支援を受けられます。
【障害者に対する就労支援】
| サービス | 支援内容 |
| 就労選択支援 | 本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援する |
| 就労移行支援 | 一般企業に雇用されることが可能な者に、一定期間、必要な知識・能力向上のために必要な訓練をする |
| 就労継続支援A型 | 一般企業に雇用されることが困難だが雇用契約に基づく就労が可能な者に、雇用契約の締結等による就労の機会と生産活動の機会を与える |
| 就労継続支援B型 | 雇用契約に基づく就労が困難な者に、就労の機会と生産活動の機会を与える |
| 就労定着支援 | 一般企業に新たに雇用された者に、雇用に伴い生じた問題に関する相談、指導・助言等の必要な支援をする |
2025年3月現在、障害福祉サービスは、「就労移行支援」約3.7万人、「就労継続支援A型」約8.5万人、「就労継続支援B型」約38.8万人が利用しています。自身のペースで働くことに慣れていける環境が整っています。
地域若者サポートステーション(サポステ)|ブランクがある若者向け
「長期間働いていない」「社会に出るのが怖い」といったブランクのある方は、地域若者サポートステーション(通称:サポステ)が心強い味方になるかもしれません。
働くことに悩む15歳から49歳までの方を対象にした就労支援機関で、厚生労働省から委託を受けた若者支援の実績・ノウハウを持つ民間団体などが運営している組織です。全ての都道府県に設置されており、2025年4月現在、全国179か所に窓口があります。
本人やご家族だけでは解決が難しい「働き出す力」を丁寧に引き出し、就職が決まった後の職場定着まで全面的にバックアップしてくれます。
まとめ|あなたのペースで自分らしい働き方を見つけよう

「働きたいのに働けない」時期は、心身が休息や環境の調整を求めている大切なサインです。周りと比べる必要はありません。自分を責めるのをやめ、公的支援なども頼りながら、できることから少しずつ始めてみましょう。あなたのペースで自分らしい働き方を見つけていけば大丈夫です。
私たちは、あなたが無理なく踏み出すその一歩を、心から応援しています。

